我慢力を育てよう!
一年の中でも一番過ごしやすい季節といわれる5月が終わり、もう6月になります。
5月は大型連休があり、日本中の人間が大移動のような状態で、各地で渋滞と混雑の様相を呈した感がありますが、皆様はどのようにお過ごしになりましたか?
保育園でも、その連休疲れを早く回復して、「普段の生活リズムをとりもどしましょう。」などと、呼びかけているうちに、なんと、もう6月を迎えてしまいました。
本当に、時が過ぎるのは早いなあ・・・と、一人で変な感心をしています。
そのようにめぐる季節の中で、若草保育園では、春の親子遠足がありました。また未就園児を対象とした「おしゃべりサロン」の親子の皆様と、さつま芋の苗植え体験行事も行いました。
5月は、子どもだけでなく、親子が一緒に過ごす場面を見る機会が多かったのですが、そこで保育園では見られない子ども達の姿をまのあたりにして、少々驚きました。
親子遠足では
「保育園でとてもがんばっている○○ちゃんが、お母さんの前ではあんなに赤ちゃんのようになってしまうんだなー!」
「へー、○○君が、お母さんの前では、あんなにわがままなことを言うんだ・・・・」
などと、こども達は、まるで王子様、王女様のようで、保育園での子ども達を見ている私達には信じられない光景が多々ありました。
未就園児になりますと、そのような姿はさらに多く見られます。
デパートやスーパー、コンビニなどで、寝転がって泣き叫んでいる子どもの姿、お母さんの言うことも聞きいれずレジを通さずにお菓子の袋を開けてしまう姿 お父さんやお母さんに向かって暴言を吐いて駄々をこねる姿 などなど・・・
近頃は、「我慢できない最近の子どもたち」ということが、よく話題にのぼります。
それは、上にあげた保育園の子ども達や未就園児の子ども達だけでなく、小学校、中学校でも同じようなことが言われています。
子ども達に我慢する力がなくなってきたことは、確かです。
腹が立ったからといってすぐにカッとなる、手を出す。
自分の思い通りにならないと、小さな年齢ですと泣いて自分の思いを通そうとしますし、大きくなると、法律を犯してまでも自分の思いを通そうとする・・・・行動に出る場合もあります。その我慢できないということが、本人の体調にまで及ぶこともあるようです。
たとえば、小学校では、少しの気候の変化に体が対応しきれず体調不良を訴えて、学校の保健室のお世話になる子どもが多くなったということも、聞くようになりました。
このように、様々な場面で、子ども達の我慢力は低下しているように思います。
10年ほどまえに、「EQ こころの知能指数」(ダニエル・ゴールマン著)という本が出ました。
その中で、“マシュマロテスト”いう実験が紹介されていました。
4歳の子ども達数人にマシュマロを1つ与え、「15分したら戻ってくるけど、それまで食べずに待っていたら、もう1つマシュマロをあげる」と約束して子ども達の葛藤を観察するという実験です。
この実験の結果は、まず3分の1の子どもは実験者がいなくなるとすぐにマシュマロを食べてしまった。辛抱して最後まで食べずに待っていた子どもは数人しかいなかったということでした。
その数人の子ども達は、目をつぶってマシュマロを見ないようにしたり、歌を歌ったり、机の上に顔を伏せたりして、「食べたい」という欲望と戦ったようです。
この実験で、すぐに手を出してしまった子どもと、最後まで我慢した子どもを、18歳になるまで追跡調査をしたところ、大きな違いがでたそうです。
最後まで我慢した子ども達は、社会性においても、人間関係においても、そしてさらには学力においても優れていたそうです。
反対にすぐに手を出した子どもたちは、精神的に問題が多いことがわかりました。
感情の起伏が大きくて、些細なことにも心が動揺しやすく、対人関係でもいざこざを起こしやすく強情なのに優柔不断で、自分のことをダメな人間だと考える傾向が強かったということです。
マシュマロに手を出すか、出さないかは、子どもの将来に大きな違いを生み出すということ、目先の欲に打ち勝つということは、生きていくうえで大切な能力を育てることにつながるのだと思います。
近年、青少年が様々な問題行動を起こすことが多くなってきました。それは、最近の若者の対人能力や、社会性の低さが、その大きな要因だとも言われています。
「マシュマロテスト」の結果で示されたように、幼少期の我慢力がそれらに影響を与えるとすれば、家庭においても、保育園や幼稚園、学校においても、我慢力をつけることに力をいれなければならないように思います。
しかし、このような話をしますと、若い保護者の方の中には、我慢が必要なのはわかるが、どのように子どもを我慢させればいいのかわからない」という子育ての悩みを聞かされることが多々あります。
「我慢」 それは、生活の中の身近なところからの出発でいいのです。
たとえば、夕食は、家族が食卓に着くまで待つ。挨拶をしてから食べる。食べ終わって、「ご馳走様」をするまでは席を立たない。寝る時間がきたら、楽しい遊びは中断して「おやすみさい」をいって寝る。順番を待つ。おもちゃを譲る。苦手なこと、嫌いな物でも、がんばって挑戦してみる。などなど我慢力をつける場面は、日常生活の中に、たくさんあります。しかし、その場面を子ども達に対して、いかに有効に活用するかは、大人の意識にかかっているのです。
言い変えるならば、最近の子ども達の我慢力の低下の責任は、大人の子育て力の低下にあると言っても、過言ではないと思います。
子ども達の将来を見据えたうえで、幼少期の今、我慢力をつけることの必要性を、もう一度再確認したいと思います。 |